明日はどうだ?
日本のブランド力について、しっかり現状を見極めたい。私たちがそう思い立ったのは、自公政権が少数与党としての活路を見出そうとしていた頃でした。しかしその後、石破内閣は退陣に追い込まれ、自民党総裁選を経て公明党が連立を離脱し、日本維新の会が政権に参加する意欲を示すなど事態は刻々と変化しています。
日本初の女性首相となった高市早苗さんは、マーガレット・サッチャーを尊敬する保守派の政治家として有名。しかし今のところは自民党の派閥力学に縛られており、大きな変革ができるか不透明です。他党を巻き込んだ政権運営も必要となるため、従来の保守的な価値観は打ち出しにくくなるでしょう。
株式市場は新政権の出発を好感し、日経平均株価は史上初めて5万円を突破しました。一方で為替相場は1990年以来の円安水準にあります。金先物価格は高騰しており、今後もさまざまな市場心理が短期的な相場変動に影響を与えそうです。
日本の政治は変革期にありますが、日本企業による海外M&Aは依然として活発です。これから数年にわたって、日本におけるビジネスや経済はどのような変化が予想できるのでしょうか。
ブランディングとコミュニケーションを専門とするEat Creativeは、日々の業務を通してさまざまな企業の課題解決に取り組んでいます。霞が関の決定によって直接的な影響を受ける立場にもあることから、独自の観察にもとづいた考察をいくつかまとめてみました。
B2B分野で活動を強化
日本企業の海外展開は引き続き拡大傾向にありますが、その中心はB2B分野へシフトしています。AI、EV、ロボティクス、ネットワーク、デジタルシステムといった将来のグローバルインフラを支える精密部品や技術の提供が活発化しています。
ナラティブの変化
サステナブルな企業イメージに欠かせなかったESG(環境・社会・ガバナンス)やDEI(多様性・公平性・包摂性)関連の取り組みが、大きな変革を迫られています。グローバルな日本企業各社も、米国の風潮と真っ向からぶつからないようにコミュニケーションの規模を縮小しつつあります。
地方への投資と食料自給率強化
日本の人口減少は止まらないものの、東京は全国から若者を引き寄せて成長を続けます。高齢者が自然減する地方では、小規模な自治体が閉鎖されるケースも増えていくでしょう。効率的な農業施策などの投資による食料安全保障の強化は喫緊の課題。政治リーダーたちの意欲が問われています。
値上げの付加価値で勝負
インフレ基調と物価上昇が、消費者向けブランドに変革を迫っています。これまでのようなコスト管理や値引き競争に注力するのではなく、値上げを正当化する付加価値の主張が必要になります。ホスピタリティ業界では、すでに業界全体で大幅な値上げが進行中。適切な投資の拡大による価値提供が、あらゆる業界で競争の焦点になるでしょう。
まだまだ上がる首都の地価
東京の不動産価格は、今後も上昇を続けそうです。円安のためにシンガポールや香港よりも割安とみなされ、海外投資の流入が需要を増大させています。資材は高騰し、建設業界の人手も足りず、需要を満たすだけの土地を確保できていません。若年層が不動産を購入するハードルはますます高く、マイホーム購入の平均年齢は30代後半から40代前半に向かって緩やかに上昇しています。
ジェンダーバランスは緩やかに均衡へ
育児労働を分担する父親が増えています。男性による育児休暇の取得率は上昇しており、今後もこの傾向は強まる見込みです。日本のジェンダーギャップ指数は、いまだに148か国中118位という最下層グループ(2025年世界経済フォーラム)。それでも家庭、職場、社会におけるジェンダーバランスは、今後もゆっくりと均衡に向かっていくでしょう。
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