カナダの森と日本の住宅
ウエストフレイザー
より賢く、災害に強く、環境に優しい建築を実現
- ブランド戦略
- インサイト
- グラフィックデザイン
- ローカライゼーション
合板の代替となる木製建材として、構造強度などのさまざまなメリットを提供するOSB(配向性ストランドボード)。カナダのバンクーバーに本社を置くウエストフレイザー(旧ノーボード)は、世界最大のOSBメーカーです。多くの合板は成長の遅い樹種から高樹齢の木を伐採して製造されますが、OSBは成長の早い若木を原料とするため森林環境の保護に大きく貢献できます。
従業員1万人以上、年間売上100億米ドルのウエストフレイザーは世界をリードする建材メーカーのひとつ。しかし2020年当時の日本では環境負荷の高い競合資材が大半を占め、OSBは建設事業の約10%にしか使用されていませんでした。
Eat Creativeへの要望は、日本でOSBの存在感を高めること。日本の建設業界は大企業と下請けの保守的な商慣習が支配的ですが、建築資材の選択については各プロジェクトの建築家が提案できる余地もあります。そこでまずは決裁権のある建築家たちに向けて、OSBのサステナブルな価値をアピールしようと戦略を立てました。さらにウエストフレイザーの日本事務所、販売パートナー、業界代表者など、販売プロセスの連携を強化することも重要です。
Eat Creativeは、ターゲットとなるオーディエンスや顧客について綿密なリサーチを実施。ワークショップを開催してウエストフレイザーの強みをで説明し、競合他社との比較から長期的なメリットを理解してもらいます。ブランドのポジショニングを定義し、コミュニケーション戦略に反映させるプロセスを辿りました。
サステナブルなカナダのイメージを打ち出すことで、ウエストフレイザーの日本市場におけるポジショニングを明確化。自然環境と環境に対するカナダ政府の真剣な取り組みもブランド価値に結びつけました。
コミュニケーション戦略では、3つの重要なブランド価値を訴求しました。すなわち「Trust(安全な建築の実現とエンドユーザーからの信頼)」、「Canada(国を挙げて環境保護に取り組む安心)」、「Together(エンドユーザーと向き合って様々な課題を解決する姿勢)」というキーワードです。
製品を前面に出した競合他社の戦略に対抗するため、ウエストフレイザーはより温かみのある人間的なトーンでブランド価値を表現しました。ウェブサイトやパンフレットなどの資料でも、一貫した路線が反映されています。
その一方で、中身のコンテンツでは製品の強みを強調。品質、使いやすさ、自然災害への耐久性といったOSBのメリットをエンドユーザーからの視点も交えて紹介し、ウエストフレイザーの優位性を論理的に伝えました。
ブランドのポジショニングとメッセージを刷新し、ウエストフレイザーは日本における存在感を向上。商品ポートフォリオも強化し、北海道から沖縄まで日本全国に事業を拡大しています。